製作記 - 光源追跡機
学生だった頃、先輩との世間話の中で、ごく原始的なミサイルはどうやって追跡しているのかと言うのが気になって、 大学図書館に「ミサイルの原理」みたいな本を取り寄せさせる暴挙までして「ほーんw」程度で満足していた。 それを今更になって思い出し、模式的に体験できないか?と思い始めて作るに至った。
本当に作りたかったもの
本当に作りたかったもののコンセプト
- 単眼(=フォトセンサが1つ)式
- 初期のミサイルはセンサーやら周辺回路やらが高くついたので、単眼が多かった
- センサを回したり、遮光板を回したりしているのを見たら楽しいよね(一番のコンセプト)
- 可視光光源を用意
- 懐中電灯みたいなのを振り回してそれを追跡させれば楽しそう
とりあえず作ってみるもの
模式的に置き換えれるところの確認、アナログ回路を扱うので簡単なものからやりたい、回転体の実装をどうするか問題、単眼式の理解・調査不足。 そういうわけで作ってわかりやすい物を作ることにした。
- 4眼(=フォトセンサが4つ)式
- シャッターやセンサを振り回さなくてもわかるようになるには3眼以上だが、3眼は考えるのがめんどくさそう
- たしかそういうミサイルもあった気がする
- 可視光光源は変わらず
- 流石に強い光源ってだけだと誤作動するだろうから、リモコンよろしく変調を行う
- 手持ちにあったのでPIC12F675+高輝度緑LED+NJL7502Lの構成
一番のコンセプトは消えた。
回路的な基本方針
光源は20kHzくらいで光っている。それを受けたのをどうにかしてマイコンに渡したい。
前段でハイパス(カットオフ1.5kHzくらい)と増幅を行い、後段でピークホールドによる検出をしている。今回は正確な電圧はそこまで必要ないので、ピークホールドがあまり丁寧ではない。 GainCtrlという文字が見れるが、マイコンにつなげてオープンとGNDの切り替えで増幅率が変えられる機能がついている。が、後述する問題もあって使われず仕舞いである。
とりあえず出来上がったもの
この前に一応ブレッドボードで組んで、フィルタが大丈夫かとか、感度はどの程度かとかの予備確認はしている。
なんか追跡はしているがなんか微妙な感じである。
失敗と改修
フォトトランジスタの指向性(未解決)
今回上手く行ってない理由の99%。
今回の方式に対して、フォトトランジスタの指向性が高すぎた。半減角が±20°なので、実用的な角度はもっと狭い。 お陰でだいぶ照らす角度に気を使ってやらないとこっちを向いてくれない。 半減角が広いものは応答速度が遅いので、今回のように変調掛けているものには使いづらそうだ。困ったなぁ……。 頭へつれば広くなるか?フレネルレンズでも被せるか?
LEDの指向性?不均一性?(未解決)
この問題を一言で表せられる日本語ありそうだが。LEDの発する光の一様性が期待どおりではない。 人類(クソデカ主語)がLEDに期待する光の強度と言うのは、中心から外側に向かって単調減少であるが、現実はそうではないらしい。
伝わらなかった人用に図を置いておく。
結構ピーキーな出力(あきらめ)
これは極初期の形態。
作る前は「差分取ってPID制御や!」と思っていたので、フォトトランジスタ同士の距離を開けていたり、 差分がきれいに取れるようにゲインコントロールも搭載してたのだが、 差分がリニアな範囲が想像の100倍以上狭かったし、前述のLEDの不均一問題もあって、2値制御に落ち着いた。 そのため、垂直から向こう側ができるだけ見えなくなるように、フォトトランジスタを可能な限り近くなるように配置し直した。 やりたいことはできなかったが、ほしかった動作に近くなったのでまあいいか……。
ピークホールド回路の不備(改修済み)
ピークホールド回路のコンデンサに10uという、ちょっと大きすぎるものを使ってた。 お陰でだいぶ低い電圧が出ていた。 ADCのサンプルホールドのコンデンサも18pF程度らしいので、0.1でおそらく十分。
付け替えたらこの部分は解消されたが、期待通りに動かない根本的な理由ではなかったので改修の効果はほぼなし。
細々とした問題、未実装の機能、その他
- 光源を見ていないときは首を中心に戻しているが、軽くぐるぐる回してたほうがそれっぽいかもしれない。
- オペアンプって1段で何倍まで許されるんだ?今回使ったLM324は、データシートのグラフ的に数kHzだと40db、100倍程度行けそうなのだが、指向性のごまかしのために1段で10000倍してしまっている。……。
- こんなもののソースが見たい人のために置いておく。
あとがたり
広角でまあまあ早いフォトトランジスタを発見するか広角にする手段を発見するかした上で、モチベーションが残っていたら、ゆめのつづきを追うことにする。